当校の教育課程の特色の一つに「政策医療看護の学習」があります。厚生労働省は、国民の健康を守るため国を上げて取り組まねばならない疾患を「政策医療」と定めており、当校はそれを受けて重症心身障がい児(者)・筋神経疾患患者の看護、結核感染者の看護について学んでいます。
学び方は1年生後期で講義(1単位30時間)を受け、2年生の6月に北陸地区の国立病院機構の病院で研修をします。今年度から精神疾患看護もとり入れました。学生はわずかな期間で多くのことを学んでいました。指導して下さいました病院の皆様に感謝申し上げます。
見学施設: | 医王病院 | 1.臨床講義 オリエンテーション | |
---|---|---|---|
石川病院 | 2.病棟及び院内見学 (療育や学校) | ||
富山病院 | 3.病棟の患者紹介・看護の見学や体験 | ||
*いずれかの施設で研修 | 4.ミニカンファレンス |
- ○ 重症心身障がい児(者)はあまり動けず、話すことがスムーズにできないのではないかと想像していた。そのためコミュニケーションがうまくとれるか心配だった。しかし、実際にはぎこちなくても話せる方や身体で表現する方、機械を使って話しをされる方など様々なコミュニケーションのとり方があり、一人ひとりに合わせたコミュニケーション方法を学ぶことが大切と感じた。
- ○ 病棟は1歳~70歳までの幅広い年齢層の方が入院されており、身体の残存機能も様々で個性があった。それぞれの個別性を理解し、その方の持てる力を発見し援助によって持てる力を開発し成長発達を促すことや、尊厳を保ち病棟での生活を充足させる看護を行う事が重要であると感じた。成長発達には良い刺激が必要である。療育という面を考え声かけの時の話す内容や話し方、話すトーンも考える創意工夫が良い刺激となる。日々の看護も刺激を送り続けると成長発達を促すのではないか。
見学施設: | 七尾病院 | 10:00 臨床講義 | |
---|---|---|---|
1.結核看護(院内結核看護認定看護師) | |||
2.結核診療:早期発見、地域連携 (内科医長) | |||
11:00~15:30
|
|||
結核病棟見学 |
|||
1.看護の実際 |
|||
・N95マスク装着・患者対応・指導 | |||
・薬物療法(DOT,副作用等) ・検査 | |||
2.感染防止対策 | |||
3.カンファレンス | |||
神経難病病棟見学 | |||
1.看護の実際・呼吸・栄養管理(PEG) | |||
・コミュニケション・日常生活援助 | |||
2.カンファレンス | |||
13:30~14:00 | |||
3.当院における神経難病看護の特徴 | |||
(院内神経難病認定看護師) | |||
- ○ 結核病棟の環境について、病棟に行く前は隔離されたイメージであった。しかし実際の病棟は一般病棟とあまり変わらず、窓からの景色も大変綺麗で療養する患者さんにとっては、とても良い環境だと感じた。
結核の患者さんが個室に2週間入り、部屋の出入りができない期間があると知った。その期間は患者さんにとって同じ空間で過ごさなければならず、とても苦痛であることが考えられる。そのため精神的ケアが看護師の役割として大切であると感じた。
見学施設: | 北陸病院 | 1.講義(医療観察法について) | |
---|---|---|---|
(医療観察法病棟) | 1)医療観察法成立までの歴史的背景 | ||
2)医療観察法の概念・意味 | |||
3)医療観察法によって何が変わったか | |||
4)現在の姿 | |||
2.見学時の注意事項 | |||
3.病棟内見学 | |||
4.意見交換 |
- ○ 医療観察法病棟は心神喪失または神経耗弱の状態で重大な他害行為を行った人が入院しており対象者と呼ばれていた。対象者は重大な他害行為を行った人である前に、精神疾患を抱える患者であり、病める人はまず医療の提供により、治療しなければならない。裁判で医療観察が必要な対象者と定めた以上、国が責任を持って対象者の精神疾患を治療し、重大な他害行為に及んだ内因性を見つめさせ、同様の行為を再発しない社会生活を送るための社会復帰を目指すところまでチーム医療で援助する、これらを一貫して行う必要がある。
- ○ 対象者が社会復帰し、同様の行為を再発せず平穏に社会生活を送ることが対象者の幸せであることはもちろんのこと、社会の安全にも繋がるため、対象者への医療提供には重い責任や役割が伴うと考えられる。看護者はその責任と役割を認識して看護に当たることが必要である。