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  前立腺小線源治療

前立腺がんヨウ素125シード線源永久挿入療法

 長い名前で覚えにくいので、略して“前立腺がん小線源治療”と言います。これが、最近注目されている治療法です。その理由は、次の通りです。
1) わが国でも前立腺がんが大幅に増加しています。
2) PSA(前立腺特異抗原)の普及で、検診で発見される早期の前立腺がんが増えています。
3) 高齢化社会で、元気な高齢者が増えています。
4) 手術と同等の治療成績が得られ、性機能障害など副作用が少なく、手術創も殆どみられない
  など体にやさしい治療です。
5) 放射線障害も少なく、体外へ出る放射線は自然放射線レベルよりはるかに少ない量です。
6) 手術や外部放射線治療に比べ、治療期間が大幅に短縮されます。順調に経過すれば、
  入院期間は3泊4日で入院時と同じ状態で退院できます。

前立腺小線源治療の適応は;
1) 前立腺内に留まっている早期がんが治療の対象です。従って、リンパ節転移や遠隔転移のある方は適応外です。
2) 5年以上の余命が期待できる方。
3) 過去に、骨盤内の放射線治療や前立腺肥大症の手術を受けていない方。
4) 十分な砕石位が取れ、治療内容と治療後の生活上の留意点を理解、実行できる方。

*高リスク群(病理学的悪性度、Gleason score≧4+4)と中間リスク群(Gleason score=4+3)の方は、外部照射(45グレイ/25回)の併用が必要です。なお、中間リスク群(Gleason score=3+4)で、生検10箇所中4箇所以上にがん細胞陽性の方も外部照射併用が必要と考えています。

ヨウ素125シード線源の特徴;
1) 放射性同位元素です。半減期約60日で減衰して行き、約300日で放射能は消滅しますが、その間は絶えず放射線を放出しています。
2) 放出される放射線(ガンマ線)のエネルギーは約30KVと低く、周囲の被ばくは無視できるレベルです。
3) 線源はチタン製カプセルに封入されており、その外径は4.5×0.8mmとシャープペンシルの折れた芯ほどの大きさです。

  従って、ご家族を含めた周囲の方への被ばくは殆ど心配ありません。しかし、膝の上に子どもを座らせるとその子の生殖腺が一番被ばくしやすくなりますので、それだけは1年間我慢しましょう。
また、妊娠している女性や子どもから少し離れてあげる方がマナーとして良いでしょう。密封された線源ですので、下着が放射線で汚染することもありません。洗濯は普段通りで構いません。
  また、空港での金属探知機には反応せず、MRI検査も受けることができます。しかし、治療後1年以内は放射線探知機には反応しますので、海外旅行される場合は医師の証明書(英文)が必要です。海外旅行をされる時は、事前に担当医にご相談下さい。

具体的な治療手順;
1) 2週間前の火曜日午後、小線源治療室でプレプランを行います。治療時と同じ体位で、肛門から超音波の機械を挿入して前立腺の体積を測定します。放射線治療医が専用のコンピュータに取り込み、治療計画を行って必要な線源個数を決めます。このとき、尿道の位置を正確に知る必要がありますので、一時的に膀胱内にカテーテルを挿入させて頂きます。
  前立腺の大きさや尿道の位置は個人で異なりますので、あなたに適した線源個数を決める大切な検査ですのでご協力ください。
2) 治療前日の火曜日に南2病棟に入院します。
3) 水曜日が治療日です。午後12時45分に、『中央診療棟2階の小線源治療室』に入室します。麻酔科医による腰椎麻酔下に治療し、お薬で眠っている間に治療しますので、痛みは全くありません。
4) 治療計画に従って、会陰部から針を穿刺して前立腺内に線源を留置していきます。
  前立腺の大きさによりますが、通常は50〜90個の線源を留置します。
5) 治療は2〜3時間で終わり、病室に戻ります。このときから、病室は“一時的管理区域病室”に
設定されます。その間は、部屋から出ることも家人の面会もできません。
6) 翌日15時に一時的管理区域病室が解除され、CTを撮ります。家人の面会も許可されます。
7) 退院時に(金曜日13時)、放射線治療専門医が退院時指導(治療内容の説明と退院後の注意事項など)を約1時間行います。ご家族も一緒に説明を受けられるようお願いします。

治療担当医;
1)泌尿器科専門医 (安全取り扱い講習会受講者);越田潔、三輪聰太郎
2)放射線治療専門医(安全取り扱い講習会受講者);牧野美琴
 放射線治療医;水畑美優
 金沢大学からの応援医にもご協力いただいております。
 *なお、治療の窓口は泌尿器科外来となっています。


治療実績;
当院では、2007年3月28日から開始しています。
(毎週水曜日に1〜2例を実施)
これまでの実績は以下の通りです。
  2007年;28例
  2008年;24例
  2009年;42例
  2010年;38例
  2011年;46例
  2012年;43例
  2013年;45例
  2014年;54例
  2015年;57例
  2016年;43例
  2017年;51例(合計;468例)


なお、2012年8月8日からは中央診療棟2階の小線源治療室という恵まれた環境で行っています。さらに、2014年12月にNucletron社の治療計画装置(Spot Pro)を同社のOncentra Prostate and Seedsにversion upして戴くなど病院の全面的支援を受けています。
2015年1月6日から、Oncentra Prostate and Seedsに移行して気持ちも新たに再スタートしました。

治療成績


治療費はどれくらい?
  保険診療です。4日間の入院とすると、治療費は約1,060,000円です。内訳は次の通りです。
 例)*前立腺永久挿入療法料:48,600点
*線源代(1個630点):60個使用とすると、630×60=37,800点
*入院料:約13,400点
*投薬、検査、麻酔料など:約6,200点
*合 計:約106,000点=1,060,000円
  従って、3割負担の方では自己負担額は約318,000円となります。但し、線源個数やお薬の種類などによって上記金額は増減します。

副院長 越田  潔